看護-介護情報連携『鹿児島モデル』の構築
患者さん・施設利用者さんの生活機能レベルを可視化・共有化
ご挨拶
初めまして。かごしま保健医療福祉サービスを考える会(通称:NPOアームスかごしま)の理事長を務めております宇都由美子と申します。保健医療福祉サービスの質的向上を図るためには、それに従事する人材の育成が必要であり、施設や職種、役職を超えた交流の場や、患者さんや御家族をはじめとする地域住民の皆様との情報交換の場が大切であり、「交流の広場」をどんどん大きくしていっていただければとの願いから当NPOを設立しました。
今回、私たちは看護と介護による患者さん・施設利用者さんの生活機能レベルを可視化・共有化するシステム『鹿児島モデル』を開発しました。
このシステムにより、「共通指標による評価」「情報の共有化」「標準化された情報の蓄積」を実現し、医療看護の質の向上を目指します。
本プロジェクトではこのシステムを社会実装するための資金を募集します。
まずは多くの方に私たちの取り組みを知っていただき、共感いただいた皆様から温かいご支援をいただけますと幸いです。
これまでの活動
・鹿児島大学病院 医療クラーク養成講座
・病院経営と患者サービスを考える会
・病院経営出張セミナー
・子どもの虐待に関する学習会(1999~2005年)
・施設内感染予防対策事業
・児童虐待問題に関する保健師の学習会
・子どもの安心と安全を保障する地域づくり事業
・虐待事例から家族介護を考える会 など
▶アームスかごしま のHPはこちらから
『鹿児島モデル』開発の背景と目的
地域包括ケアシステムでは、急性医療機関から回復期、慢性期、在宅に至るまで、その人の生活機能を共通の指標で評価し、蓄積していくことが重要です。従来、看護サマリーがその役割を担うべきでしたが、看護サマリーの様式として標準的な規定がなく、看護本来の役割であるその人が望むような生活・暮らしへのライフサポーターの視点での要約になっていないという問題点を抱えています。
介護支援側から看護サマリーだけでは、在宅支援において必要な情報が足りていないとの指摘もあります。
施設を超えた情報交換を行う場合、現状の紙媒体では限界があり折角の情報提供が2施設間の共有で終わってしまい、その人固有の生活機能評価として継続的に活用されていません。
看護サマリーの効率化と看護-介護情報連携を目指して、厚生労働省がひな型を出している「退院・退所情報記録書」とICF準拠の生活機能サマリーについて、ICT活用も含めて「鹿児島モデル」として位置づけ、実用化に向けて取り組んで参りました。
「鹿児島モデル」の概要
本システムでは、看護と介護による患者さん・施設利用者さんの生活機能レベルを可視化・共有化します。2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築が求められています。
「地域包括ケアシステム」は、地域の自主性や主体性にもとづき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。
いままさに、鹿児島県の特性を踏まえた、鹿児島県にふさわしい地域包括ケアシステムの姿を描くための取り組みを展開する必要があります。
本システムは、ICF準拠の評価項目、評価基準(評点)を標準化することで、病院看護師、地域のケアマネジャー、介護施設看護師、介護職員など異なる資格、職種の間で患者の生活機能の共有、引き継ぎを可能とします。
▶『鹿児島モデル』のより詳細な内容、入会方法についてはこちらから
<生活機能評価票(ICF準拠)>
視覚、聴覚など感覚機能の状態、歩行など移動機能、食事、着替えなどの日常生活機能、認知に関する機能など23項目について評価(各0~4点で評価)を行う。・評価項目、評価基準(評点)を標準化することによって、病院看護師、地域のケアマネジャー、介護施設看護師、介護職員など異なる資格、職種の間で、患者の生活機能を共有、引き継ぎができる。
・介護施設では、事前に入所者の状況を把握し、住環境(段差有無、トイレ有無、ベッドなど)や給食の準備を事前に行うことができる。
・感覚機能や認知機能に対応したケア計画を立案し、介護職員間で共有することによって、よりよい支援を行うことが可能となる。
・入所中も評価継続することで、容態の悪化等により病院へ再入院(あるいは救急外来診療)することになっても、病院では退院してからの状況を容易に確認できる。
・介護施設、在宅訪問介護ステーションなど患者の生活の場が変わっても、同じ評価票を用い、各フェーズでの生活機能を可視化することにより、改善の進捗や課題の把握がなされ、それが次の対策に繋がる。
実証実験での声
今回の社会実装にあたって、与論島の16施設で1年間の実証実験を行ってきました。『鹿児島モデル』への入力データを集約し結果をフィードバックする中で、以下ようなコメントをいただき、その有用性を再確認することができました。
・患者(資料者)さんの生活機能が視覚的に理解できることに感動した。
・要支援や要介護のレベルが同じでも、年齢や使用している介護サービスの内容が異なることが比較できる。
・同じ利用者さんの時間経過の中で、生活機能が改善しているのか悪くなっているのか、データが蓄積できることで比較評価ができる。
・退院後、在宅生活で評価してみると、病院の一部介助から自立してできるようになっている。
・連携のサマリーのみでなく、生活機能を評価することでその人らしい自立に向けた支援が可能となる。
・生活機能評価は、連携のみでなく、個人の生活機能のアセスメントにも活用できる。
資金の使い道
現状スタンドアローンで運用しているシステムを、鹿児島県全域、また、全国に広げるためにクラウドへの移行を進めています。
本プロジェクトでご支援いただいた資金はクラウド移行期間および社会実装後の「鹿児島モデル」運営費に充てさせていただきます。
今後のスケジュール
2024年9月 クラウド移行の開発開始
2024年12月 クラウド移行の開発完了
2025年1月 クラウドサービスの試行開始(~2025年3月末まで)
2025年4月 クラウド版『鹿児島モデル』の社会実装完了
メッセージ
我が国の喫緊の課題として2025年問題があげられます。団塊の世代が後期高齢者となり、急増する医療・介護需要への対応が迫られています。
さらに、団塊のジュニア世代が高齢化し、生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加が同時進行することで、社会保障制度の持続可能性が脅かされる2040年問題があります。
超高齢社会となり、複数疾患を抱えつつ生活を行う個人が多数存在する社会においては、個々人の疾患群が何々であるのか、という事と併せて、その個人の生活機能のレベルが可視化されることが、治療やケアにおいて必須と言えます。
クラウドを活用した看護-介護情報連携を実現することによって情報の連続性、さらに蓄積による情報の二次利用が可能となり、ケアの質の向上につながることが期待できます。
医療看護の質を向上するための取り組みにご協力ください。
かごしま保健医療福祉サービスを考える会
(通称:NPOアームスかごしま)
理事長 宇都由美子
- 2024年9月28日 10:00募集を開始しました
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初めまして。NPOアームスかごしまの宇都由美子と申します。
今回、看護-介護情報を連携するシステム『鹿児島モデル』の社会実装にあたってクラウドファンディングでご支援を募らせていただきます。
クラウドを活用した看護-介護情報連携を実現することによって情報の連続性、さらに蓄積による情報の二次利用が可能となり、ケアの質の向上につながることが期待できます。
私たちの取り組みをぜひ知っていただけますと幸いです。